「夜間飛行」読みました。よかったです
去年あたり読んだ本からお気に入りを。
なんだかステキなタイトル、と思って買った
サンテグジュペリの「夜間飛行」。
比較的短くて、読みやすそうだなとも思いました。
長い物語を読み込むことに憧れるんですが、スタミナが続かないことも多く
また読みこなせないなあ。。。と感じてしまうこともあって
この本の薄さはちょっと魅力でした。
(う~ん、読書体力つけないとイカンと思いつつも)
サンテグジュペリと言えば、「星の王子さま」が超有名。
子どものとき、クラスの子が読んでいたのは目撃したけれど、
自分は大人になるまで全然読んだこともなく、
ふ~ん。。タイトルは知ってるけどね~、くらいのノリでした。
でも、その「超有名」のとは違うこの著者の作品がいくつもあると知ったのは
だいぶ後になってから。
で、今回、初めて手に取ってみたわけです。
短いお話です。すぐ読めます。
物語の中の時間は2時間だけなんです。
で、すぐ読めるんだけど、すぐ読み終わりません。(笑)
本のカバーにはこんなふうにあらすじが書かれています。
「南米大陸で、夜間郵便飛行という新事業に挑む男たちがいた。ある夜、パタゴニア便を激しい嵐が襲う。生死の狭間で懸命に飛び続けるパイロットと、地上で司令に当たる冷徹にして不屈の社長。命を賭して任務を遂行しようとする者の孤高の姿と美しい風景を詩情豊かに描く。」
けれども、この短い紹介文が醸し出しているちょっとハードな空気感と、
「夜間飛行」というどこか甘美さを感じさせる(香水にもある名まえだから?)タイトルにはギャップがあるんじゃないかなあと感じました。
で、実際に読んでみると、なるほどその印象が正しく(笑)、
短い物語の中の集中した奥深さというか
すごい透明感というか。。
そんなものを感じて、ひとつひとつの場面がくっきりするので
さっさと進まないのですね。
ひとつひとつの情景はシンプルなこと。
私たちの日常と同じと言っていいかもしれません。
だから、この物語の中では、
丁寧に毎日を暮らす普通の人の普通の努力が見える気がしたんです。
それをパパッと通りすがりに見るのではなくて、
丁寧に見ればこんなに、「なにやらすごいこと」に見えてくる。
本当は誰もがそんなすばらしさを持っているのに
誰もそこに向き合わないまま時間だけが過ぎているのかなと
思いたくなる風景でした。
行間にドキドキします。
語られない、語り得ない何かに包まれているような気がして。
文章がすてきすぎて、
読めないって分かってるのにフランス語版も買ってみました。(笑)
でもこういうときは、眺めているだけでもいいんです。
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